2006年12月 3日 (日)

牧美也子「マキの口笛」復刊など

このブログはココログフリーを使っているのですが、コメントやトラックバックがあってもスパムに埋もれてしまうので、もっと上のバージョンに変えようと思ったところ、フリーからベーシック、プラスには移れないのだそうです。私はniftyの会員なのでAmazonアフィリエートの使えるプラスに移転しようと思っていますが、思うように作業が進みませんでした。
それでとりあえず最近の話題をここで書いておきましょう。

「ラブ★コン」連載終了

いま発売中の別マを買い損ねていたのですが、人気ヒット作の「ラブ★コン」が最終回でした。別マでは他にも連載終了作品がいくつかあって、今後どうなるか気になりますが、ここ2,3年はほとんど積ん読に近かったので、ネット上の情報で動向を把握するという妙な状況になっていますけど、別マのカラーそのものは他の人気連載も続いているので大きく変わることはないでしょう。「ラブ★コン」について何かを論ずるというのは野暮というかその魅力はみんなよく知っているのだからその必要を感じないですけれども、ただ、多田かおるがリードしてきた学園コメディをきちんと引き継いだ由緒正しい別マの看板作品であったでしょう。

Young Youや旧りぼん系のカラーが入ってきているコーラスのほうに何か影響が出るかと考えても、別マから誰か作家が移ってくるかとかとりあえず思いつきません。YOUのほうは着実に充実していますね(でもこれ以上雑誌を家に増やさないため定期購入して読んではいないのですが...)。

牧美也子「マキの口笛」復刊

水野英子、わたなべまさこと並んで、いえそれ以上に昭和30年代にトップレベルの広い人気を誇り、読者に強く支持されて男性作家優位だった少女雑誌に女性まんが家の地位を確立させた作家というべき牧美也子さんの初期の代表作が雑誌おこしを用いてついに復刊されました。
牧さんというとやはり草分けとしてジャンルを確立させたレディースコミックの作品は入手しやすいですが、それ以前の作品は読む機会を逸してきました。

牧さんの描く少女の絵がリカちゃん人形の顔のデザインに採り入れられたのは有名な話で、そのような作家の少女まんが作品がなかなか読めないのは、原稿が散逸しているのも大きな理由でしょうが、この時期の少女まんががきちんと評価されてこなかったこともあるでしょう。10代でデビューする作家が多かった頃に、一度銀行勤務を経て書籍問屋であったという家業の事情から退職してから20代になって少女まんが家に転身したと言う経歴からも、もう少し年長向けの「少女」や「少女クラブ」に描いた作品にはもっと大人っぽい部分が出ている可能性があるのではないかと思っています(以前ほんの一部の短編を読んだことがありまして、
もっと瞳に意思がこもっていたものを見ています。レディースコミックをいち早く手がけたこともありますし)。

「マキの口笛」はりぼんの連載ですが、何はともあれ少女まんが史的にはずせない作品が当時の状況の解説も含めて出されたことは大変意義深いものでしょう。
たとえば巻末の対談によれば「マキの口笛」の連載された当時は女の子が口笛を吹くのはいましめられていた時代であったそうです。
いまの女の子では想像がつかないかもしれませんが、牧さんと親子ほど年の違う私があくまでも想像してみれば、口笛を吹くことははしたなく、そして不良っぽいとみなされていたのかなくらいの感じがします。しかしながら、実際どのような感じでそれが許されなかったのかとなるとその時代を少女として過ごした女性でないとわからないでしょう。

 

マキの口笛 Book マキの口笛

著者:牧 美也子
販売元:小学館クリエイティブ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これは前後編に分けられるほど分厚いのですが、貸本でこのような分厚いものは少なくとも私は見たことがなく、昔原稿が散逸していて他の人がトレースし直した虫プロのコミックスでは全3巻になりますが、たぶん分冊にしてしまうといまの人は最後まで読まないからと判断されたのかもしれません。700ページで3800円しますけど必読の一冊であるでしょうから(まだ読み始めていませんが)、今回の出版を行った小学館クリエイティブの英断に感謝したいと思います。

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2006年11月 4日 (土)

手塚治虫とニッポンのマンガ

最近は情報収集する時間がなかなかないのですが、手塚治虫が亡くなる前の最後の講演が明日放映されるというのでちょっと書いておきます。

http://www.nhk.or.jp/special/onair/061105.html

2006年11月5日(日) 午後9時〜9時59分
NHKスペシャル「ラストメッセージ」シリーズ第一回目とのこと。以降、物理学者の湯川秀樹、映画監督の木下恵介と続きます。

講演自体を見たわけではありませんが、亡くなる前に何かの賞に出席した写真ではびっくりするほど痩せていて、ショックを受けた覚えがあります。
亡くなる直前まで病室でもマンガを描いていたというようなことも何かに書いてあったと思うのですが、マンガの神様というよりもマンガの神様に選ばれてしまった人、という感じです。

 

ニッポンのマンガ―AERA COMIC Book ニッポンのマンガ―AERA COMIC

販売元:朝日新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


また戦後デビュー直後にアメリカのプランゲ文庫に保管された作品も収められ、どんなマンガでも描けた手塚の才能がうかがえるものです。
手塚治虫文化賞10周年記念で出された本。大賞受賞作家の5人が書き下ろしで1000円ちょっとというのはかなり安い値段でしょう。

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2006年9月21日 (木)

『少女の友』の話など

最近なかなか更新する暇がありませんが、最近気づいたことなど。

戦前にリボンの騎士を先取りしていた松本かつぢの『?(なぞ)のクローバー』が今年弥生美術館で公開された件について、以前に出た本に記載がありました。題名までは書いてありませんでしたが、上田トシコ先生がその作品が書かれていた頃にすでにお弟子さんですからその存在は知っていたようです。

 

『少女の友』とその時代―編集者の勇気 内山基 Book 『少女の友』とその時代―編集者の勇気 内山基

著者:遠藤 寛子
販売元:本の泉社
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2004年に出た本で私も読みましたが、うっかり読み飛ばしていたようで、今引用する時間がないので、あとで引用部分を追加修正します。

話が変わりますが、谷川史子さんが青年誌に描いていました。デビュー当時から男性ファンが付いて話題になっていましたが、最近の男は「クッキー」とか読まないでしょう。
YOUNG KING OURS(アワーズ)の増刊OURSplusで連載になっているようです。
そういえばデビューして何年になるんだろう、とかふと思いましたが小花美穂さんよりもっと前なのでゆうに10年以上経っていますね。

いかに熱心なファンがいるのかはウィキペディアを見るとわかります。そういえばタニカワと読むんですな。私も普通にファンなんですけど。あと須藤真澄さんとかも熱狂的なファンがいますね。おとめちっく以降では柊あおいさんが一世を風靡したのは80年代ですか。

このへんの話もおいおいしていきたい気もしますがあまり思い出話的にならないので、研究みたいな形になってしまうとブログではあまり書かないかもしれません。

新刊が出ていたので載せておきましょう。

 

花と惑星 Book 花と惑星

著者:谷川 史子
販売元:集英社
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谷川さんで私が思い出すのはたぶんデビューは同時期だと思うのですが、僕は名取ちずるさんが好きでした。ちょうど20年前にデビューしたんですね。デラマの1月号だったと思います。残念なことに2年前でしたか亡くなられてしまいました。遺作はまだ手に入ります。

 

ぐるぐる迷路23 マーガレットコミックス Book ぐるぐる迷路23 マーガレットコミックス

著者:名取 ちずる
販売元:集英社
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名取さんのような作家ってよくいるようで意外といないんですよ。こういうタイプがなかなか売れなくなったということもあるんでしょうけど。新作ごとにある種の孤独を抱えた独特の深みが増していったので遺作になったのはほんとうに残念でした。

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2006年9月11日 (月)

最近出た本より

最近新しい作家に疎くなってきてしまいました。古い作家でも需要はあると思うので開き直って紹介します。

 

ハチミツとクローバー 10 (10) Book ハチミツとクローバー 10 (10)

著者:羽海野 チカ
販売元:集英社
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ハチクロの最終巻が出ました。掲載誌が途中でヤングユーからコーラスに移りましたがその時点で終わりに向かっていたようです。9巻で突然の展開だったので読み損ねている場合は現在品薄の9巻も一緒に買っておいたほうがよいかも。

 

ホットロード 1 完全版 (1) Book ホットロード 1 完全版 (1)

著者:紡木 たく
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 

ホットロード 2 完全版 (2) Book ホットロード 2 完全版 (2)

著者:紡木 たく
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

紡木たくがこの作品を書くためにマンガ家になったといっても過言ではない大ヒットした一作ですが、90年代半ばには反動で忘れられた作家に近くなっていたような気がします。今だと受け入れられる素地がまた整っているような気もしますがどうでしょうか。ちなみに集英社の携帯コミックでも読めるようになっているようですが、あくまでも抜粋なのかそれとも全部読めるのかは確認していません。NANAの矢沢あいはデビュー当時は紡木たくのフォロワーの一人という感じの位置づけでした。

 

みどりの花 Book みどりの花

著者:あすな ひろし
販売元:ブッキング
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ブックデザインがとても凝っているのですが、注目して欲しいのが一番上の題名のところ。馬車が真っ黒で刷られているのに対して題名のほうはおそらく下の深緑を使っているのでしょうが、よーく眼を近づけるとさらに細かい網かけが入っています。ペンで網トーンみたいな効果を出した題字を原寸よりかなり縮小されているにもかかわらずそれとわかる印刷で驚くほど気合いが入っている装丁です。
実は有名な「嵐が丘」もオンデマンドで出版されているのですがそちらのほうは雑誌おこしで一般書店には出回っていないもの。どちらもマストアイテムです。

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2006年8月24日 (木)

SWITCHのaiko特集はマンガ特集としても良いです(付:海外少女マンガ事情紹介)

昨日、雑誌SWITCHの新しい号が発売されました。新しいアルバムを同じ日にリリースしたaikoの特集にマンガの特集を絡めてまして、100冊セレクションが私の好みとけっこう合っているのがうれしい。もうひとつAGELESS COMICS 2006という特集と合わせたところもあるのでしょうが、ちょっと古いマンガでも載っていますし私が時々やるように押しつけがましい紹介はしないし、しかも私も尊敬する山下和美さんとの対談つきですよ!

(押しつけがましく付け加えると、くらもちふさこの「おばけたんご」とか冬野さほの「ポケットの中の君」とかもう十年以上前ですが今読んでも圧倒的にすばらしいし、もうぜんぜん年齢を選びません。冬野さほはデビューから読んでいましたので岡崎京子、松本大洋絡みで知ったわけではないんですが、というか親友だった安野モヨコさんと同じくらいにデビューしてそのへん全部読んでたので当時自分はこんな細かいところまで少女まんがに詳しいんだろと思っていましたけど、岡崎さんが絶賛したこともあってか冬野さんが現在ほとんど描いていないことを考えると今でも新刊で手に入るのは良いことです)

ポケットの中の君 Book ポケットの中の君

著者:冬野 さほ
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


aiko, Cocco, UAの存在は私が日本のポップを聴く上で今でも別格なんですが、雑誌bridgeがCoccoのインタビューを掲載していて、悔しいけど渋谷陽一はインタビューがうまいよ、とか思いましたが(しまいのほうは渋谷節が出過ぎてイマイチでしたが、渋谷さんのFM番組で育ったので昔は洋楽の紹介者として信奉してました。ピーター・バラカンさんなんかが出てきてもっと紹介する音楽のレンジが広かったので乗り換えちゃいましたが)、aikoさんの特集もSWITCHという雑誌自体がCoccoやUAの特集号を出しているような傾向なので、興味深く読ませていただきました。

aikoさんの歌詞の世界は失恋の歌がやたら多かったり、微妙にセカイ系的なものに通じる面もあって(世界が終わってしまったらとかなくなってしまっても とか、たびたび歌詞に出てくるんですね)、でもやはり女性視線だから似て非なるものではあるのですが、今回のSWITCHはナイス特集でした。それにして も最近の女性はみんな30代になるくらいで若さとは違ういい顔になるんだよな。

なんといっても音楽がめちゃめちゃ好きだというのが曲を聴いてるとビリビリするほど伝わるのがすごくいいんですね。そのへんは本当に信頼しているので、マンガのセレクションも、表現や歌詞のイメージともよく対応がとれていて、しかも私が尊敬するほど好きでもほとんどまともに紹介された試しのない作家の作品とかが選ばれていたりするし!驚いたのは椹木野衣さんが岡崎京子の後継者と絶賛しながらまるで話題にならなかった(いやこれは売れないでしょう確かに)「BABYいびつ」とかちゃんとaikoさんがコメントまでつけているし!

SWITCHの新しい号は今見たらAmazonではどうやら売り切れてしまっているのでアフィリエイトが載せられませんが、SWITCHのサイトでの最新号紹介と、aikoさんの新譜は大きめにして、あとマンガと関係ないですがbridgeのほうを載せときます。

彼女 Music 彼女

アーティスト:aiko
販売元:ポニーキャニオン
発売日:2006/08/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Cut 増刊 bridge (ブリッジ) 2006年 08月号 [雑誌] Book Cut 増刊 bridge (ブリッジ) 2006年 08月号 [雑誌]

販売元:ロッキング・オン
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STUDIO VOICEも最新号がマンガ特集なので一応。比較してみるのも一興ですか。ヤマダトモコさんが出ていますが、ぜひもっと活躍していただきたいものです。

STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 09月号 [雑誌] Book STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2006年 09月号 [雑誌]

販売元:INFASパブリケーションズ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

最後に、集英社のサイトで、藤本由香里さんによるアメリカ少女マンガ報告(リンク先参照)という特集が組まれています。集英社メインページからたどれないって、いったいどうなっているのと思いましたが、ここからリンクしておきますので海外マンガ事情を知りたい人はぜひごらんください。

なお記事はPDF形式なのでWindowsだとAcrobat Readerをネット経由でインストールする必要がありますがページを参照のこと。

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紀伊国屋画廊であすなひろしと高橋真琴の展示

おとといはPR誌の「ちくま」を探しに職場から遠く離れた新宿まで行ってしまいましたが、ジュンク堂新宿店には置いてなかったものの毎日新聞がフリーペーパーで出している「まんたんブロード」が3ヶ月分手に入って、「ちくま」は紀伊国屋書店には残っていました。昔は連載を読むのに手に入れ損ねたら、売っている店を覚えているのでそこに行って買ったりもしたんですけど、その店も改装されてから置かなくなったようで(単に売り切れていたのか?)、やっぱり発行日をチェックしないといけません。

大島弓子さんの連載まんが グーグーだって猫である〈2〉 が載っている角川の「本の旅人」を1年くらい前から途絶えさせてしまいまして、きっと単行本がでるよな、と開き直ってしまいましたが。しかしまんたんブロードのほうは萌え全開なんやねえ。

ところで学生が夏休みのせいか紀伊国屋書店でマンガ関連のフェアをけっこうやっておりますね。
8月26日から新宿本店の紀伊国屋画廊で、原画'(ダッシュ)展が開催されまして、なんの因果か高橋真琴あすなひろしの組み合わせです。

原画そのものがものすごく手が込んでいるといえば、この二人は間違いなく双璧ですから。念のため井上雄彦とか松本大洋とか突っ込みを入れないでくださいね。

あすなひろしはホワイトを使わずに白は塗らずに残すんですから。

トーンを使わずにペンのカケアミでとんでもなく繊細なグラデーションを描くのですから。

二人一緒に見られてこれはお得ですってば。

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2006年8月19日 (土)

文化庁メディア芸術祭10周年企画の「日本のメディア芸術100選」アンケートからマンガ10作を選ぶ

文化庁メディア芸術祭が10周年を記念して、日本を代表するメディア芸術100作品を選ぶためのWebアンケートをやっています。こちら→「日本のメディア芸術100選」

マンガ部門アンケート(→リンク)は、マンガの中から「日本を代表するメディア芸術作品である」と思うものを10点まで挙げてください(必須項目)。となっており、サンプルのリストがありますが、このリストに入っていない作品でも3作品までは選べるスタイルになっています。逆に言えば7作品はリストから選ばざるを得ないわけですが、私は10作品に絞ることのほうがはるかに大変でした。リストに入っていない3作品を選んだあとで、リストの10作品と合わせて13作品であることに気づいて、苦肉の策で手塚治虫と白土三平を外すという暴挙、最後まで悩んだ揚げ句松本大洋も外しました。90年代以降で選んでいた作品が全部選外の憂き目に遭って、この選択でいいのだろうかと悩んだのですが、古い作品のほうが外しにくいんです。つげと萩尾望都を外すのは作品数が充実していてリストに入っていない傑作が選びたくて結局できませんでした。

私の選んだ10作はこの続きで。

続きを読む "文化庁メディア芸術祭10周年企画の「日本のメディア芸術100選」アンケートからマンガ10作を選ぶ"

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2006年8月14日 (月)

少女まんが雑誌が動いています

トラックバックスパムが止まってくれないので試みに受け付けないようにしています(と思ったら初期設定の変更ではすでに書いた記事には反映されないのですか)。
これまでのエントリですが、今年に入ってから、女の子向け漫画に関して戦前から昭和30年代の前半にかけて思いがけない発見が続いて、それはイレギュラーな面もあるでしょうが私の予想していたものをまったく超えるものといえました。

松本かつぢの戦前の初期作品が手塚治虫に決して劣らないダイナミックな構図を全面的に採り入れていたり、高橋真琴の復刻された「さくら並木」が卓球を題材にスポーツ漫画としても十分なレベルにあったことなどは私自身全く予想もしていなかった出来事で、スポーツ漫画といえば手塚治虫が強くライバル意識を燃やした福井英一氏の「イガグリくん」があるので、「さくら並木」が描かれた頃の少年マンガにおけるスポーツものがどのようなものかが今の私にはよくわかりませんが、忘れられているマンガ史を見直してみる余地がまだまだあると感じられました。

その一方で、私は雑誌のマンガ読みで単行本はよほど気に入らないと買わないですませていたのが、ここ数年読む余裕を失っていきました。読みたかった長編をまとめ買いするほうにシフトし(ほとんど少女まんがではない)、明らかにここ数年の新しい波がメインストリームになり、90年代のテクノムーブメントに乗り切れなかった時と同じような感覚があります(つまり<ポストロック>を聴くようになった)。
最近は雑誌を購入はしてもほとんど読まないも同然でストーリーをたどっていなかったりしていたのですが、ただNANAの映画が大ヒットしたあたりからでしょうか、少女まんが雑誌の動向に何やら動きがあるような感触があって最近気になってきました。「ハチミツとクローバー」と「ラブ★コン」を同時期に実写映画化し、「ハチクロ」は大々的なキャンペーンだったのでコーラスで久々にきちんと読んだら連載終了するし、フラワーズが創刊された時は廃刊になるんじゃないかと噂されていた別コミも見事に世代替わりを成功させて、今展開しているアニメとのメディアミックスもきちんと計算された形で進みそうだし、10代から40代までの読者の広がりを持つような作品に大きな変化が見られます。というわけで久々に今後の動向に興味が湧いてきました。なかなか読む時間が無いんですが久々にバックナンバーの積ん読をまとめ読みしてみたほうがいいのかも(どうでもいい話ですが私個人的には偉大なる花本姉妹のお風呂シーンもそろそろ見納めでしょうか)

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2006年7月29日 (土)

少女マンガの名編集者が語ったその世界

7月23日のエントリで触れた森下文化センターの連続講義の先週の内容について、夏目房之介さんのブログでレポートがありました。とても貴重だと思います。丸山昭さんとのコンビで少女クラブの一時代を築いた新井善久さんにも触れられていて、新井さんにもお話を聞く機会があるといいんですが難しいでしょうか。二上洋一氏ご自身が集英社の名編集者であることも納得できました。

http://www.ringolab.com/note/natsume2/archives/004664.html

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2006年7月26日 (水)

今日の読売夕刊に高橋真琴の記事が載りました

今日発売の読売新聞夕刊、本・よみうり堂のコミック館のコーナーで、藤本由香里さんが先ほど復刊のあった伝説的少女まんが家である高橋真琴の作品を雑誌中心に調査した成果を書いて記事になりました。昭和33年(1958)に光文社の雑誌「少女」での初の連載「あらしをこえて」で、まんがにスタイル画が導入され、その後の少女まんがの独特と言われるスタイルに決定的な影響を与えた、というものです。

高橋真琴が少女まんがに大きな影響を与えたという話自体は昔から伝えられていたのですが、長い間実際にマンガ作品が読めないこともあり、はたしてその伝説の実際はどうなのか、という点について当時の少女雑誌を集中的に読み込むことで、明らかな変化があったということをつきとめたことになります。

自分も少女まんが雑誌を読み始めて以来、ときどきここでは実験が行われているんじゃないだろうか、と思うことがときどきありましたが、高橋真琴の実験がピークに達するのが「あらしをこえて」の前の号になる昭和32年12月号の「のろわれたコッペリア」であり、戦後少女雑誌の絵物語的レイアウトをまんがと融合させる試みが当時の他の作品と比較しても、あるいはその後の少女まんがと比較してもなお特異な印象を与えるものらしいのです。

当時のマンガ界は光文社の少年少女雑誌の天下で(その名もずばり「少年」と「少女」)、後に女性週刊誌の「週刊女性自身」を創刊する天才編集者と呼ばれた黒崎勇氏が「少女」の編集長でした。

ちなみに日本で最初の女性週刊誌は「週刊女性」で、今検索をかけたら電通の作った年表のページによれば驚くことに昭和32年に河出書房から創刊されていました。河出書房が倒産して主婦と生活社から復刊されて現在に至っているようですが、この時期に雑誌界に大きな変化が生じたことがうかがえます。

「女性自身」が創刊されたのが昭和33年12月ですが、「少女」という雑誌は当時非常に斬新なつくりであったことも藤本由香里さんやヤマダトモコさんが調査で実物を見て驚いたとの話を伝え聞いています。表紙を円形にくりぬいて中から次の見開きの一部が見えるとか、高橋真琴の作品で原稿の横幅をちょっと広くして、読むときに折り込みを開くと折り込みに隠れていた画面が現れる仕掛けのまんががあったらしいんですが、とにかくそういった工夫がゴージャスだったようなのです。

 

MACOTOのおひめさま Book MACOTOのおひめさま

著者:高橋 真琴
販売元:PARCO出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

まんが家からデラックスマーガレットなどの表紙絵描きを経て今はこんな絵になっています。今でもこれ一筋という感じで、原画の瞳の星の配置が本当に星座のようになっています。瞳の星の変遷をたどる調査から高橋真琴が圧倒していたという感じで調査が進んだのでしょう。

ちなみに内藤ルネが付録などにイラストを描き始めるのも昭和33年頃から本格化しており、弥生美術館の学芸員である中村圭子さんが内藤ルネの本に労作である出版関連リストを作成し掲載していますが、それによると「少女クラブ」がお正月増刊で絵はがきに起用し、その後すぐ「少女」が付録を依頼しています。5月には少女ブックとりぼんがルネに依頼を開始し、高橋真琴と内藤ルネのブレイクがほぼ同時期であることがわかります。高橋真琴は書き込みに凝って遅筆のため「少女」の独占に近い状況でしたがほかの雑誌にも書いています。ちなみに日本で初めてのマンガ家と編集部との正式な専属契約は少女クラブとちばてつやとの間に交わされたもので、少女クラブの名編集者である丸山昭氏がはっきりと明言しておりますが、年を忘れてしまいました。「ママのバイオリン」の連載も昭和33年から始まっています。ちばてつやは人気作家として後に少年ものと掛け持ちしやがて少女まんがから離れますが今読んでも十分面白いもので、高橋真琴氏の今回復刻された作品も思ったよりしっかりしていて、その世界は大人っぽくさえあり、優れた資質を持っていたことがわかる面白いものでした。

 

内藤ルネ―少女たちのカリスマ・アーティスト Book 内藤ルネ―少女たちのカリスマ・アーティスト

著者:内藤 ルネ
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

出版関連リストが載っている本はこちら。

ちなみに中原淳一とともに戦前一世を風靡した松本かつぢは昭和29年頃引退を宣言したそうで、戦前の大スターである蕗谷虹児が抒情画の依頼を失うのが昭和30年、大城のぼるが戦後少女向けに作品を書きながら筆を折るのが昭和31年頃と考えられますので、手塚治虫のインパクトが少女雑誌に及んだのがもしかすると関係あるのかもしれませんが、手塚の持っていない部分を追究したのが高橋真琴だったと言えるでしょう。大阪から東京に呼ぶために飛行機を使わせた作家は手塚と真琴だけだったと伝説になっています。

 

完全復刻版 パリ‐東京・さくら並木 Book 完全復刻版 パリ‐東京・さくら並木

著者:高橋 真琴
販売元:小学館クリエイティブ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

二冊箱入りセットのため表紙が違いますので注意。 これは戦前の大物作家が筆を折っていく時期にあたる、雑誌に進出する前の貸本時代の作品で、初期作品は意外な側面を見せて、「さくら並木」は卓球マンガ(バレエまんが絵物語つき)としても面白いです。こんな作品があるとは!

戦後に独立して出版社を興し独自路線で少女文化に抜群の影響力を誇った(内藤ルネの師匠でもある)中原淳一を好んだという高橋真琴の画風には、蕗谷虹児の点描、玉猫のような独特の手法がはっきりと受け継がれでいます。松本かつぢからの流れとはやはりちょっと違うようです。

ちょっと遅くなりましたが週末に図書館でも記事が見られるのではないでしょうか。このへんの話はいろいろと書きたいのですが今回きちんとチェックしてないので誤りがあるかもしれません。今後手直しがあるかもしれませんのでお断りしておきます。

言うまでもないかと思いましたが、高橋真琴は今でも現役の絵描きとして活躍しています。

高橋真琴画集 愛のおくりもの Book 高橋真琴画集 愛のおくりもの

販売元:美術出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2006年7月23日 (日)

森下文化センターの連続講義がありますが

かつて夏目房之介さんのブログで紹介されていましたが、森下文化センターで 「編集者が語るマンガの世界」という連続講座をやっていて、残念ながら私はこれに気づかずにすでに定員締め切りになっています。森下文化センターはのらくろの展示などもあって一度行ってみたいところですが、有料の連続講座なので飛び入りはできないだろうなあ。マンガ史的に見てもすごいメンバーがそろったので残念。

今日23日はぶーけの編集などを手がけた倉持功さんで今回のメンバーの中でたぶん唯一知名度のない黒子に徹した方ですが、少年小説やミステリなどの研究書を二上洋一名義で出していてその方面で知られている方です。

といっても私が得た知識は「少女まんがの系譜」からのもので、伊藤剛さんの「テヅカ・イズ・デッド」でこの本は運悪く批判されてしまったんですが、私はぶーけ誌上で熱く語られる内田善美論とかも一応読んでいますから、本当はもっと語りたいこともあるだろうにというふうに感じていまして、それから大塚英志氏の少女まんが論があまりにもずさんで明らかに読みが足りないのは80年代に少女まんがを継続的に読んでいた人なら即座にわかるはずのことでしたから、彼の語るレベルで理解されるのはかなわんとずっと思ってきて(「イグアナの娘」論とかなんだかアプローチがあざとかったしなあ)いっそのこと自分で書こうかとまで思ったくらいで(でも読んでいる人の中でもいくえみ綾は紡木たくのパクリだなんて言われていてそれ違うだろという感じでしたから、きっとすでに単行本だけで読む人も多くわからなかったのかも)、二上氏にはいつかもう一度少女まんが論を書いて欲しいとも思うのですが、かくいう私もちゃんと再評価したいと思いながらもそれが困難なことはよくわかっていて、雑誌は同時に7冊くらい読んでいたものの長編を読み飛ばしたりしてあと白泉社系はみんな読んでいるから他の方にお任せと思っていたのでなおのこと自分でも全体像をつかんでいないことがわかっていて公正には書けないし、たたき台にしても書くのは作家に迷惑じゃないかと思いつつ結局十年以上経って何も書き物としてまとめていないのですから、せめてお話を聞く機会はつかみたかったので残念です。

少女まんがは特に会社ごとにかなり方針が違うので元集英社の少女雑誌編集者から話を聞けるのは本当に限られた機会になるでしょう。

「少女まんがの系譜」は版元がたしか倒産してすでに品切れ。少女まんがをあまり読んでない人にはたぶん読んでもイメージがつかめないでしょうがいまは米沢さんでさえ書かないくらいですから(やおいの位置づけが最大のネックで、当面はそこを見ないことにするしかないと思います。とりあえずはやおいまでの間が抜けているのが問題)資料としてはとりあえず読まねばならないレベルのものです。少女まんがをそれなりに日常的に読んでないと役に立たないでしょうが普通そういう人でないとこういう本は読まないし。

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2006年6月13日 (火)

悩ましいコミック文庫などの旧作

マンガ読みとして年をとって困ることというと、知らないうちに旧作が出版されているのに気づかないことがけっこう多いということ。気をつけているつもりでもいつの間にか出ていてしかも売れて店頭から消えている、なんてことがあるので、正直困りものです。
集英社から出たちばてつや全集なんかも出た当時は萩尾望都なみに手に入りやすくなるかなと思ったのに、ずっと品切れのまま。講談社とのつきあいもあるので難しいんでしょうか。
それで「紫電改のタカ」が最近中公文庫から出ていたりします。

 

Book 紫電改のタカ (1)

著者:ちば てつや
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2巻も買わなくちゃなあ。これまでコンビニ限定とかいろいろ出ているようなので、古本でまとめて手に入ってしまうのかもしれませんが、本当は全集をゆっくりそろえたかったですね。

 

カッコーの娘たち Book カッコーの娘たち

著者:樹村 みのり
販売元:朝日ソノラマ
Amazon.co.jpで詳細を確認する

朝日ソノラマから樹村みのりの作品集も出ていましたが、こちらが困るのはたぶん収録作全部すでに持っているのですね。自薦集みたいでしたので収録作一覧があるといいのですが、Amazonではわかりませんでした。

最近困っているのは、雑誌で読んで単行本を持っていないのがけっこうあるために、雑誌は捨てずに寄贈するつもりなのですが、手放すと読めないじゃないかって気づいたり、あたり前のことながら本自体もこれ以上増やしたくない気分なのでジレンマに陥っています。前回のエントリで出したくにたち物語とかコミックスも買っていたつもりなんですがなんかよく覚えていなかったり、特別好きな作品は買っていたんですが、長編は買ってないものがけっこうあるかもしれません。

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2006年6月11日 (日)

最近購入した本、注目の本

まず前回のエントリで触れた松本かつぢの「?(なぞ)のクローバー」について。昭和9年の少女の友の付録であることは確定しました。「スピード太郎」が新聞連載されていた時期なので忽然と現れたわけではないのですが、その斬新さは早すぎたのかもしれません。あるいはそのまま進歩するには時代が悪かったのか。この後クルミちゃんにいたるまでどう進んだのかなどは今後の課題でしょうか。戦前の「少女の友」のファンの方はまだかなりいらっしゃると思うので解明が進むことを期待しています。

では久々に趣味のエントリを。

西谷祥子先生の作品が一昨年白泉社文庫から4冊ほど出ましたが、4冊目に出た「学生たちの道」が出ているのにすっかり気づきませんで、一昨年にもう出ていたのを最近知ってあわてて近場の本屋をめぐったのですがやはり見つからず、ネットで予約して昨日無事入手しました。良かった在庫が残っていて。

Book 学生たちの道

著者:西谷 祥子
販売元:白泉社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ちなみに祥子と書いてよしこと読むのですが、私がそれを知ったのがずいぶん最近のことで、昔は漫研などで話題になっていても気づかなかった可能性もありますね。

西谷祥子とあすなひろしは「少女クラブ」でデビューするのがだいたい同じ頃。ただ西谷先生は最初は短編のコメディを描いていて、一世を風靡するのはマーガレットに移ってからです。水野英子先生のあとで受け継がれたものも多いしまるで異質な面もありますね。白泉社文庫からは他に3冊出ていますが、短編に伝説的なものがあるようなのですけど再発の可能性はどうなのでしょうか。まず牧美也子さんから先に出さないと、ということもありますがどうなりますか。

さて、現役の作家に移りまして、「きみとぼく」休刊で描く場を失ったかと危ぶんでいた橋本みつる先生の作品集がちゃんと出ました。Wingsに移られていたのに気づきませんでしたが良かった。少女まんが界がまだ売れ線ばかりじゃなくてこうした作家を見捨てていなかったのにほっとしました。

 

青いドライヴ Book 青いドライヴ

著者:橋本 みつる
販売元:新書館
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まず、Wingsに掲載された新作の作品集。久々に作品に触れたので読みづらさを感じた自分がショックでしたが、これが慣れると何とも言えない味になるのです。しかし相変わらずというよりもずいぶん凄みが増した感じが。

白泉社からも出ていました。こちらは再録みたいでしたが単行本未収録の作品は入っているのかどうか、私も最近忘れっぽいのでちょっとわかりません。数たくさん出る作家さんじゃないのでとりあえず確実に手に入れなければ、というところ。
マイペースで描き続けていって欲しいところです。

 

Book 橋本みつる作品集GET DOWN

著者:橋本 みつる
販売元:白泉社
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次にカムバックで、おおの藻梨以さんの「くにたち物語」が講談社のOne More Kissで再開されました。看板連載であった掲載誌のmimiの休刊がもとで中断されたままで、作者自身も作品の発表がなくなって、ときどきぽつんと短編がひっそりと掲載されたりしましたが、これは念願の再開となるでしょうね。いつ終わるかわからない大河連載の趣でしたので今回のシリーズ化は今後どうなるのか気になります。

国立駅の三角屋根の駅舎が取り壊されそうで、今週の市議会で決まるような話でした。駅の周囲にマンションも建って、すでに景観は変わっていますが、富士見台のほうからまっすぐ駅まで直線に走る大学通りを駅に向かうと、向こうに三角屋根の駅舎は確かに見えました。

今回の連載開始の号にはけっこう昔の駅の写真も載っているのですが、私は国立にある高校に通っていたので、懐かしさとともに、ずいぶん変わってしまったんだなとの思いも強く感じました。

「くにたち物語」は現在文庫判で6冊出ています。読んでみてこんな少女まんががあったのかと思う人もけっこう多いかもしれません。とりあえず第1巻だけ。

 

くにたち物語―Memorial street (1) Book くにたち物語―Memorial street (1)

著者:おおの 藻梨以
販売元:講談社
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続編の掲載誌はこちら。そういえば栗原まもるが描いていますがクッキーから離れたんでしょうか。あと雑誌を読んだら、「くにたち物語」には復帰した作者の解説がついています。国立駅舎は今年で80年目なのだそうです。

One more Kiss (ワンモアキス) 2006年 07月号 [雑誌] Book One more Kiss (ワンモアキス) 2006年 07月号 [雑誌]

販売元:講談社
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ここまで書いたらせっかくなので、現在人気のあるメジャーな作品も挙げましょう。

別コミに連載されていてけっこう部数も出ていますが、知名度として実際はどうなんでしょうね。これを知っていれば少女まんがファンとして胸がはれそうな気はします。

僕等がいた 10 (10) Book 僕等がいた 10 (10)

著者:小畑 友紀
販売元:小学館
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7月からアニメになるそうですが(宮崎あおい主演で実写もの、と言うイメージがいいなと思ってしまうんですが)、現在の少女まんがシーンの最先端を突き進む、このある意味ですごいまんがをどう料理するのかはちょっと見物です。監督は「こどものおもちゃ」を実に上手い具合に手がけた大地丙太郎さんとのことで期待してもいいかも。でもこの作品、テレビで放映するんですか?

http://www.bokuragaita.com/

このまんがについて一つだけ豆知識を書いておくと、名前にナナのつく女の子がヒロインともう一人登場するまんがなのですが(NANAとはまるで違う作品ですけど)、10巻にはとうとうヒロインが回想場面以外に出てきませんでした。

最初の予想では7巻で終わるかなと思ったんですが、まだまだ終わりそうになく原作もいったいどうなるのでしょうか。

僕等がいた公式ファンブック Book 僕等がいた公式ファンブック

著者:小畑 友紀
販売元:小学館
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2006年5月21日 (日)

松本かつぢ展へ行く(続き)

ずいぶん間が空いてしまいました。藤田継治展が今日までだったのですが見損ねて残念。これ以上間が空くと来週になってしまうのでここで更新してしまいます。

さて、松本かつぢ展の続きになりますが、まずご長男の二森騏さんのお話があり(結婚の際子供を母方の籍に入れる条件を約束したいうことで実の長男である)、かつぢは子どもが大好きだったようで、子だくさんで7人の子のうち上から3人を留学させ長男の騏さんだけが日本に帰国し次男、長女はそのままアメリカに移り住んだとのこと。略年譜によると昭和35年に留学から帰国した騏さんとともに「克プロダクション」を設立しベビーグッズの企画・制作を行って、ちょうど私が幼い頃はかつぢグッズ一色と言っても過言ではないくらい本当に一世を風靡しておりました。戦前ライバルと言われた中原淳一とは性格も家庭生活も対極的といって良いほど異なっていたようで、本質的には抒情画家よりも童画家の素質が強い方と思われました。クルミちゃんは後に二頭身になるなど大胆なデフォルメがうまく、何でも描けるデザイナーという感じで、戦後マンガやイラストにも大きな影響を持っているとおもっています。

上田トシコさんのお話では長谷川町子さんの話が印象的で、今回の展示に合わせて出版された河出のらんぷの本「松本かつぢ」に書かれてますが、田河水泡の弟子だった長谷川さんが便箋屋を紹介してもらうために毎日絵を持参してはかつぢを訪ねたとのことで、このときの出来事がきっかけとなって上田さんは本格的に絵のレッスンを自らに課すようになったようです。

もちろん戦前からかつぢの描いた絵はがきや雑誌の付録はたいへん人気があり、今見てもまったく古くありません。クルミちゃんのキャラクターはものすごく人気があって別人が描いた偽物も相当出回ったことも今回の展示で明らかにされました。

戦後間もなく連載の始まったサザエさんのキャラクターは長谷川さんが古くからあたためていたものとのことで、かつぢが「毎日子供新聞」の編集を任されてそこで上田先生に漫画を描かせ、上田先生がハルピンに戻る事情で昭和13年から長谷川先生に引き継がれたようなのですが、上田先生によれば長谷川先生が4コマのギャグ漫画を書くようになったきっかけではなかったかとのことでした。戦前の長谷川作品というと私が思いつく限りで「仲よし手帖」くらい、一応調べると確かに戦前に少女倶楽部に連載していますが、私は戦前の作品は読んでいないので最初は短い物語漫画や一コマなどを描いていたのでしょうか。

上田先生は「女漫画」という言葉を使って戦前では女性漫画家というのは考えられなかった、上田先生もかつぢのファンとして特に漫画家になるつもりはなかったところが女学生のモデルとしての需要もあって弟子入りということになり、そこに田河水泡の弟子である長谷川町子が現れて、二人の奇特な師匠がいたことによって女性漫画家の活躍へと道が開かれたということになるようです。(ただし杉浦茂さんの回想録によると戦前にも女性漫画家が何人かいて、長谷川町子の登場以前には少女向き、子供向きには描いていないとのこと)

展示には上田先生の戦前の物語漫画も展示されていて私はそちらに気をとられていたのですが、かつぢ展のギャラリートークの後で夢二の展示室の解説があるため、がらんとした展示室で、夏目さんと解説をされた堀江さんが展示を前に話をしていて、少女マンガ研究者のMさんが夏目さんに付き添っていましたので、なんだろうと思い見に行くと、昭和9年に少女の友の別冊付 録として収録されたという「なぞのクローバー」についてお話をしているところでした。これについては夏目さん自身がブログに記しているので説明のヘタな私よりも そちらを参照していただいたほうが良いでしょう。

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2006年5月15日 (月)

松本かつぢ展へ行く

昨日の14日日曜日に弥生美術館で松本かつぢ展を見てきました。
2時からギャラリートークがあり、告知ではもしかするとお弟子さんの鈴木悦郎、田村セツコ両先生が来られるかもしれないということで、また近くにちょうど閉館を迎えて最終日の交通博物館も近いので、今ひとつ体調が良くなかったもののやはりこの機会を逃してはいけないんじゃないかと思って都心まで出ることに。
出かけるのにぐずぐずしていた乗り継ぎでぎりぎりなのでお茶の水でタクシーに乗って5分前に東大の弥生門に到着(乗った直後に東大構内行きバスがタクシーを追い抜いていってこれだと十分に間に合ったはずなので呆然としましたが)。

弥生美術館はその向かいの目と鼻の先にあるのですがすでに人だかりで、中にはいるといきなり上田トシコ先生が玄関先の椅子に座っていらっしゃってびっくりしました。そばには夏目房之介さんがいて、「あっぱれな人々」で上田さんへのインタビューをして惚れ込んでしまったと書いていたのは覚えていましたが、上田さんは来ないのだと思っていたので予想外でした。かつぢ先生のご子息もいらっしゃって、出版関係者なども来ていたようで(最近塗り絵の本が流行していますがそういう話が耳に入ってきました)、うわーなんかすごいところに来ちゃった、などと思っていると会場の中でもほとんど別格のように可愛らしいにこにこした女性がいらっしゃるのを見つけて、髪型もファッションもイラストから出てきたようにそっくりでしかもそれが見事に似合っているのが感動的でしたが、これはもう田村セツコ先生に間違いありません。

夏目さんの側に若い女性の少女マンガ研究者として活躍されているMさんがいらして、関西の方なのですがちょうど用事があって来られたとのことで、私のことを覚えている方がいたのは雰囲気に飲まれていた私にとっては大変ありがたいことでした。

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2006年5月 6日 (土)

マンガと商業デザインといえば

弥生美術館では松本かつぢ展をやっていますね。中原淳一と並ぶ人気抒情画家でありながら、漫画家として昭和13年には戦後まで続いた「くるくるクルミちゃん」を連載開始して、少女漫画の先駆けとしては最も重要な作家の一人で、上田トシコ、田村セツコが師事したというのも興味深いところ。
キャラクターグッズの歴史は子供漫画の成立と重なるんじゃないかと予想しているのですが、その中でもクルミちゃんはとりわけ有名で、戦後もベビー用品を手がけるなど、キャラクターグッズにかけては草分けであるとともに第一人者と言えるでしょう。
かつぢの全貌は私もとらえきれていないので新発見がないか期待したいところです。

 

松本かつぢ----昭和の可愛い!をつくったイラストレーター Book 松本かつぢ----昭和の可愛い!をつくったイラストレーター

著者:弥生美術館
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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漫画の源流とジャポニズム

ゴールデンウィークも残り少なくなりましたが、お出かけするのも面倒という方に、国際子ども図書館の
コンテンツをおすすめしましょう。

江戸絵本とジャポニズム
http://www.kodomo.go.jp/gallery/digi/edoehon/index.html

shockwaveプラグインをブラウザに入れないと見られませんが、音声による説明つきでなかなか楽しめます。

大阪万博をさかのぼること百年、1867年にパリで万博が開かれ、日本からも初めて出品され、かつてから浮世絵などが印象派の画家たちなどの間で話題になっていたのがこれを機会にジャポニズムとして広まり、別のWebページによれば明治新政府も万博を舞台に日本の美術工芸を積極的に売り出す政策を進めたと記しています。これは本当なのかしら。
http://www.janjan.jp/culture/0407/0407197008/1.php?PHPSESSID=.

ストーリーマンガの起源についてはいろいろなことが言われていますが、たとえば昨年出された秋田孝宏『「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画』では、ヨーロッパでマンガの粗と言われているルドルフ・テプフェル(あるいはロドルフ・テプフェール)Rodolphe Töpfferの作品が紹介されており、だいたい1830年頃に成立したということになります。もっとも、このような形式が広まるのは19世紀も後半のことになるのでしょうか。

ジャポニズムが流行するのはまさに19世紀の後半で、折しもウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動が近代デザインの出発点となって、これにジャポニズムの影響が、19世紀末のアール・ヌーヴォーからさらにはウィーン分離派にまで影響を及ぼしていくのですが、世紀末を抜けて20世紀に入ると美術界はフォーヴィスムやキュビスムへと向かい異国趣味としてのジャポニズムは下火になり、アフリカン・アートなどに興味を移していったようです。アール・ヌーヴォーから、1960年代の終わり頃に1925年様式として見出されたアール・デコまでのデザインの歴史は折々の前衛美術と微妙な関係を保ちながら変容していくのですが、映画、写真の表現手法とも相互作用があったと思われるので、漫画ともなんらかの相互作用が働いていないかが気になるのですが、ちなみにアール・デコ様式は世界的に波及して、日本でアール・デコというと私には商業デザイナーでもあった竹久夢二が思い浮かびます。夢二はそのキャリアの初期である明治30年代から末にかけて諷刺画を含むひとコマの漫画のようなものも書いていますが、これはコマ絵と呼ばれています。

ちょっと話が大きくなりましたが、元の話に戻すと、紹介されている江戸絵本というのはいわゆる子供向けのおとぎ話を内容とした草双紙で、赤い表紙から赤本と呼ばれていたものです。漫画の赤本の名称もこれに由来しているのでしょう。
解説によると草双紙は青本、黄表紙へと発展していった、つまりだんだん青年向け、大人向けになっていったようなのですが、いずれにしても絵師と戯作者によって書かれた庶民向けの絵本であり、江戸時代も教育熱心だったというか寺子屋などで読み書きを習うことで識字率も高く、また本はそれなりに高価だったらしく、赤本は全部で十頁程なのでどの程度の値段かわかりませんがお年玉で与える贈答品であったり、草双紙を扱う貸本屋は大変栄えたようです。

(参考)貸本屋さんの文学史(亀井 秀雄氏)。研究者としては長友千代治氏など。
http://homepage2.nifty.com/k-sekirei/otaru/kashihon_01.html#f21

ちなみに江戸の絵本のこのようなスタイルは明治時代の中頃までは残っていたと確か解説していたような。

近代漫画については幕末に発行され明治20年まで続いた「ジャパン・パンチ」から今でもポンチ絵という言葉が残されているようにポンチと呼ばれ、ビゴーの滞在が明治15年から32(1899)年、北沢楽天がオーストラリア出身のフランク・ナンキベルに師事してそして本格的に活躍し始めるのが20世紀に入って明治35年のこと。楽天は新聞の諷刺漫画から連載ものまで幅広くこなし近代漫画を確立させた人物といえます。また戦前最大の漫画家と言われる岡本一平が夏目漱石によって見出されデビューするのが大正3年、そして大正期に漫画漫文と名付けた長編漫画を連載し、その中の代表作「人の一生」が大正9(1921)年に出されています。また東風人・織田小星の「正チャンの冒険」は大正12(1923)年に開始していて、これは立派にフキダシまで付いています。子供向けの物語漫画が確立されるのも大正期になるのでしょう。

それからジャポニズムに移るのが一見唐突ですが、19世紀末の西洋の絵本にも浮世絵的な表現が採り入れられ、それまでの物語絵本とはの造りとは異なった、動物の絵と詩を見開きでレイアウトしたデザインを重視した絵本の表現や、 ルネサンス以来の西洋絵画の原則を破って(ルネサンス以降失われた?)異時同図の手法が草双紙の画面と似たある種漫画のコマの流れ的なレイアウトで表現されているという絵本がジャポニズムの影響例として挙げられています。
私の興味は少女マンガのコマ割りからはじまっているので、デザインや書籍・雑誌のレイアウトとマンガ表現との間に何らかの関連が見出せないかという方向に向かっているので興味深くはあるのですが、このジャポニズムと絵本というテーマに関しては、デザインの歴史との絡みもあるので、実際はどの程度研究されているのかというのがかなり気になるところです。 


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2006年5月 4日 (木)

ソノラマ文庫の新刊

最近は雑誌の予告や新刊情報もなかなか目を通す余裕がなくて、いつの間にこんなの出ていたんだと思うことがよくありますが、朝日ソノラマがコミック文庫で旧作を出しているのに気付きましたので紹介します。




菜の花畑のむこうとこちら


Book

菜の花畑のむこうとこちら


著者:樹村 みのり

販売元:朝日ソノラマ

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樹村みのりは14歳でりぼんでデビューして、デビュー当初からすでにある種社会派だったという早熟な作家でしたが、コマ割りに関してもかなり大胆で、名手とも言えました。少女マンガ独特の表現手法を考える上で外せない作家ですが、菜の花畑シリーズは代表作とも言えるもので、樹村作品の中では非常にリラックスした感じでむしろ異色作に見えたものです。あすなひろしの青い空シリーズとちょっと似通った位置づけになるでしょうか。すでに何度となくコミックス化されていますが、大学に入ってすぐでしょうか、ブロンズ社の初出を買いあぐねていたら版元が倒産して東京中の本屋をめぐった記憶があります。

この装丁を見るとちょっと90年頃のフラワーコミックスのワイド版を思い出されますが、収録作はブロンズ社の初出通りになるのでしょうか。

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2006年4月18日 (火)

1986年の女性作家たち(番外編)

前回リストを書いたが、少年誌や青年誌にもけっこう女性作家の名前が書かれているので、追加として記す。

少年サンデー:あだち充、高橋留美子、吉田聡、小山ゆう、村上もとか、上條敦士、島本和彦、石渡治
増刊少年サンデー:中津賢也、鈴宮和由、真鍋譲治、みず谷なおき、天獅子悦也
マガジンSpecial:大和田夏希、菊池としお、堀内真人、河合単
コミックトム:横山光輝、みなもと太郎、坂口尚、倉多江美
ビッグコミックスピリッツ:花咲アキラ、高橋留美子、山本直樹、楳図かずお、岩重孝、池上遼一、石坂啓、聖日出夫
ヤングマガジン:きうちかずひろ、大友克洋、片山まさゆき、小林じんこ、弘兼憲史、小林まこと
スーパーアクション:諸星大二郎、星野之宣、花輪和一、藤原カムイ、板橋しゅうほう、原律子、とりみき
アクションキャラクター:柳沢きみお、かわぐちかいじ、木村えいじ、柴門ふみ、はやせ淳、国友やすゆき
ヤングジャンプ:弓月光、コンタロウ、高見まこ、野辺利雄、佐藤智一、春日光広、萩野真(←誤字)
コミックMAGAZINE:川崎三枝子、新岡勲、緒方恭二、横山まさみち、たがわ靖之
リイドコミック:さいとうたかを、みやわき心太郎、ありま猛、セツコ山田中田雅喜、土山しげる
WINGS:藤原カムイ、とみながはるみ、速見翼
COMICばく:つげ義春、近藤ようこ、末永史、やまだ紫

少年ビッグコミックに松田紘佳という作家が載っているが、この人のことを覚えていない。
WINGSとCOMICばくはマニア誌のカテゴリーになっていて、いわゆる美少女マンガはここに隔離されており、女性作家の見分けがつきかねたので他は省いたが、WINGSなどは生命線の長さを見てみたい、などと揶揄されている(とみながはるみって覚えていないのだけど。私は同人系出身になると性別に自信がなくなる)。あとガロが見つからないのだが、COMICばくについては女性作家に肩入れしていて売れ行き無視と書かれている。たぶんガロではこの頃女性作家が次々とデビューしており、同人誌っぽいなどと言われ(笑)古くからの女性蔑視的なファンをとまどわせていたはずである。

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2006年4月16日 (日)

1986年の少女・女性マンガ誌チェックリスト(一部)

図書館に返却しないといけないので、「マンガ批評宣言」の巻末に載っていた「全雑誌チェックリスト」の中から、少女・女性誌から記載されている作家だけを抜粋。なおこのリストの担当は少女・女性誌が岩田次夫、その他(エロ・ギャンブル雑誌まで含む)を阿島俊が担当している。

週マ:一条ゆかり、麻生いずみ、阿月裕、青沼貴子、岩館真理子、飯塚修子
別マ:くらもちふさこ、槇村さとる、いくえみ綾、紡木たく、聖千秋
ぶーけ:松苗あけみ、水樹和佳、吉野朔美、清原なつの、内田善美
りぼん:池野恋、本田恵子、佐々木潤子、萩岩睦美、小椋冬美、高橋由佳利
りぼんオリジナル:陸奥A子
週刊セブンティーン:宮脇明子、島津郷子、粕谷紀子
月刊セブンティーン:三谷美佐子、佐藤志保里、榛野なな恵、笈川かおる、坂井久仁江、原田智子
YOUNG YOU:倉持知子、小椋冬美、笈川かおる、秋本尚美
YOU:津雲むつみ、柴田あや子、福原ヒロ子、のがみけい、立原あゆみ、もりたじゅん
OFFICE YOU:市川ジュン、柴田あや子、樫みちよ、長浜幸子
週刊少女フレンド:西尚美、富永裕美、板本こうこ、伊藤千江、庄司陽子、大和和紀、竹原亜美
別冊フレンド:伊藤ゆう、真柴ひろみ、松本美緖、河村美久、小野弥夢
Juliet:上田美和、川名香津美、かやまゆみ、松沢あさみ
なかよし:あさぎり夕、松本洋子、竹田真理子、牧村ジュン、竹本泉、西原ちか
なかよしデラックス:高橋千鶴、さこう栄、佐藤まり子、曽祢まさこ、高階良子
ハローフレンド:巻野路子、そうだふみえ、石丸朋子
mimi:吉田まゆみ、おおの藻梨以、目白花子、風間すずめ、大和和紀、板本こうこ、前原滋子
mimiデラックス:里中満智子、森谷幸子、寺館和子
mimiカーニバル:吉田まゆみ
mimiエクセレント:大和和紀
Me:あまねかずみ、辻村弘子、伊万里すみ子、深見じゅん、内村月子、菊川近子
BE-LOVE:三原陽子、立原あゆみ、里中満智子、布浦翼、ごとう和、河あきら
BE-LOVEペア:夢野一子、伊万里すみ子、篠崎まこと、小橋もと子、立原あゆみ、布浦翼
週刊少女コミック:藤田和子、篠原千絵、さいとうちほ、すぎ恵美子、惣領冬実、竹宮恵子
別冊少女コミック:渡辺多恵子、川原由美子、秋里和国、赤石路代、吉田秋生、前田恵津子、香川祐美
コロネット:佐々木淳子、さいとうちほ、鈴木みや、北川みゆき
Judy:井上恵美子、河野やす子、ありさか邦、七草セリ
プチコミック:名香智子、佐伯かよの、小林博美、池田さとみ、牧野和子、石塚夢見、吉村明美
プチフラワー:萩尾望都、木原敏江、竹宮惠子、秋里和国、佐藤史生、高野文子
ちゃお:川原由美子、あだち充、三浦浩子、あらいきよこ、麻原いつみ、赤石路代、惣領冬実
FOR LADY:わたなべまさこ、池田理代子、ささやななえ、志賀公江、牧美也子、武田京子
花とゆめ:美内すずえ、和田慎二、、魔夜峰央、柴田昌弘、野間美由紀、日渡早紀、川原泉
花ゆめEPO:三原順、神坂智子、山内直美
LaLa:成田美名子、ひかわきょうこ、なかじ有紀、清水玲子、わかつきめぐみ、樹なつみ
Cindy:坂田靖子、高口里純
SERIE:島本真紀子、山本里美、石井幸子
Silky:酒井美和、高口里純、風間宏子
プリンセス:碧ゆかこ、細川知栄子、天城小百合、河名尚子、中山星香
ビバプリンセス:青池保子、山田ミネコ、中山星香、亜砂都優子、花郁悠紀子
ひとみ:細川知栄子、イケスミチエコ、英洋子、竹内ゆかり、みすとかずみ
デジール:イケスミチエコ、真崎春望、小森麻美
ボニータ:市東亮子、高階良子、長岡良子、あしべゆうほ、東宮千子、湯口聖子
Candle:笈川かおる、あしべゆうほ、東宮千子、長岡良子
Eleganceイブ:佐伯かよの、ごとう和、光崎圭
Bonita Eve:のがみけい、曽根富美子、長浜幸子
COLLET:笹原ひろみ、篠崎佳久子、松藤純子
Missy:しらいしあい、佐伯かよの、星合操、みやぎひろみ、奥友志津子
Comic Hi:しらいしあい、佐伯かよの、星合操、藤田素子、藤本さみ
Lovely Hi:秋月志穂、藤田素子、藤本さみ
Jour:風間宏子、久掛彦見、中原千束、ぬまじりよしみ、もんでんあきこ、まさき輝
ami Jour:長浜幸子、風間宏子、まさき輝、ぬまじりよしみ、もんでんあきこ、童夢梨乃
MAY:平田真貴子、久掛彦見、峰岸ひろみ、志賀公江、川崎ひろこ、原のり子
Dramatic メイ:平田真貴子、峰岸ひろみ、原のり子
comic VAL:里中満智子、平田真貴子、牧美也子
コミックルージュ:川崎三枝子、市川容子
La・Comic:北川玲子、呉山幸子、高井戸あけみ、瞳あきこ
Labien:呉山幸子、高井戸あけみ、高見亜紗
Loving:川崎三枝子、あきもと渚、呉山幸子
Cute:南部ひろみ、大谷てるみ、峰岸ひろみ、森村あすか
ソリティア:葛峰麻利子、佐々木みすず、BELNE
あすか:山岸涼子、高口里純、竹宮惠子、いがらしゆみこ、ささやななえ、美内すずえ
おまじないコミック:伊藤かこ、谷口恵美子、阿部ゆたか、原田清美
grape fruit:名香智子、鳥図明児、たらさわみち、坂田靖子、青池保子、高口里純、中山星香

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2006年4月15日 (土)

忘れられた80年代少女まんがの展望へ向けて

もう20年近く前に米沢嘉博氏が編集した「マンガ批評宣言」(1987)は最近加藤幹郎氏の所載論文が秋田孝広「コマからフィルムへ」でとりあげられるなど、当時のマンガ批評の集成としては非常に良質のものを集めていた。にもかかわらず私が最も興味を持ったのは、岩田次夫氏による巻末のマンガ雑誌評であった。伊藤剛氏「テヅカ・イズ・デッド」では「ぼくら語り」世代を批判したが、米沢氏や村上知彦・竹内オサムの「マンガ批評体系」のような仕事はマンガ評論なるものが世間に認知されていなかった頃に、マンガ批評本を出してもすぐに品切れになってしまって、今の批評家があまり省みることがないようにも思えるもので、こうした「ぼくら語り」とは対極にある批評集成の仕事をきちんと評価しておかないと片手落ちであろう。(品切れ本は残念ながら著作権の問題がなくても実物を写さないと載せられない)

「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画 Book 「コマ」から「フィルム」へ マンガとマンガ映画

著者:秋田 孝宏
販売元:NTT出版
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テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ Book テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

著者:伊藤 剛
販売元:NTT出版
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私が昔「マンガ批評宣言」を読んで岩田次夫氏のマンガ雑誌評が一番面白かったのは、マンガ体験というものが世代的なギャップを常に抱えていて、たまたま私にとってマンガ雑誌評が一番リアルタイムで共感したという面が大きかったと思う。あっけなく倒産したらしいぺんぎん書房の二上洋一「少女まんがの系譜」の評では、巻末のヤマダトモコ氏の年表ばかりが価値がある、といわれたが、その画期性は認めるものの、二上氏は「歴史書」を回避するそぶりを示しながらも、実際には里中満智子、一条ゆかりの功績を高く評価し、西谷祥子についてもこれまであまり語られなかったところまで踏み込んでいるのを見ると、ここにも世代のギャップを感じずにはいられない。そもそも「歴史」と「系譜」とではアプローチは異なるのである。

一方で竹内一郎「手塚治虫 ストーリーマンガの起源」のように、重要な先行書の業績をあっさり無視したような書籍が出版されて、あまり表立ってはいないものの物議をかもしている。私自身が日本マンガ学会に初めて研究報告を書いたとき、日曜マンガ研究にかまけて本業をおろそかにしていると言われるのを疎んじてペンネームを使いたいと言ったことがあったが、今考えてみれば、研究論文扱いでペンネームを使うのはおかしな話であった。したがって実名を使って投稿をした。二回目の発表をしたときも難航して本業に支障をきたして、レポートもやや不本意な出来となった。竹内氏の著作は学位論文として審査を通過したものが元になって書籍化されたものだというが、だとすればその審査はあまりにも甘いのではないか、と思わざるを得ない(まさか卒論ではあるまいが、博士論文だったか?)。

 

手塚治虫=ストーリーマンガの起源 Book 手塚治虫=ストーリーマンガの起源

著者:竹内 一郎
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

(これは読む気が起こらなかったのだが、安値で売ってくれる人とかいませんかね)

80年代以降のまんが史を書く、というのは少なくとも一人の力では無理だ。歴史とは史観がまずありきといったものであって、安易に教科書にするようなものではないだろう。私がとりあえず目指すのは私が見通せた限りでの「系譜」となる。

先に挙げた岩田次夫氏は、80年代初めまでは米沢氏の周辺で少女まんがの研究に関しては研究同人誌を主宰するなど中心的な存在であったが、コミケットの膨張に伴う頃、彼らのグループは少女まんがは今後停滞期に入ると結論し、同人誌のほうに関心を移してしまった。商業誌よりも同人誌のほうに誰もがより大きな可能性を感じていたのである。コミックマーケットの拡大とその成果は今のマンガ状況に大きく反映しているが、その一方で、80年代の商業作家は批評から見捨てられた、ともいえる。もっともおそらく出版社も批評に期待などしていなかったのだろうが。

 

Book 同人誌バカ一代―イワえもんが残したもの

著者:岩田 次夫
販売元:久保書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

こちらのブログではないが、かつて自分は、えんどコイチとあきの香奈を知らずして80年代マンガは語れない、と啖呵を切った。まず既存の評論家が依拠してきた手塚中心史観、そしてその継承である24年組史観(さらには美少女同人誌からいまの萌えにいたるまで)とは異なる見方が可能なはずであり、その系譜をたどる必要性を感じている。
あすなひろし氏についてはたまたまみなもと太郎氏が彼の大ファンであったこともあって、少女クラブから少年チャンピオンまでをつなぐ存在として、その選集出版活動の現時点における成功はそれなりの下地があったのだが、80年代以降の作家については正直難しい。
なぜ「あきの香奈」なのか、といえば別にB級でもマイナー志向でもなく、はっきりした個性を持つとともに普通に作品の質が高かったのに、正当な評価がなされていない作家のなかでも、一番わかりやすい例といえるからだ。萩岩睦美「銀曜日のおとぎばなし」すらほんの一度短いブックレビューでしか取り上げられなかったのを見ていた身としては、今のマンガがレビューに取り上げられる頻度の高さというのは過去に比べればけっこう恵まれていることを念のため指摘しておきたい。

しかし現状ではあきの香奈一人ではどうしても限界に突き当たらざるを得ない(まず絵がわからないとどうにもならないのだが)。ガロ系のような盲点についても今後紹介していくだろう。とにかく岩田氏などに見捨てられたともいえる80年代の少女まんがの系譜をざっくりと作る必要があるが、私はできるだけいろいろな雑誌を読むためにみんなが読んでいた白泉社系の雑誌を読まずにきたのが現在になってネックである。そこを補完するためにブログを立ててみた。というわけで協力が得られることを望んでいます。どうぞよろしくのほどを。

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2006年3月20日 (月)

少女マンガを含む貸本マンガ史の本がでた

昨年からマンガ研究の力作が続々と出ています。商魂たくましい便乗本みたいな本も出ていますけど、貸本漫画の研究書として画期的な本が出ました。
これまでは戦争漫画を扱った本も出していた梶井純さんや、「マンガ産業論」の中野晴行さん等が出していたのですが、貸本にしぼった本でも少女まんが系でまとまったものがほとんどありませんでした。しかし今度出た本はそこが充実しているのです。

 

貸本マンガRETURNS Book 貸本マンガRETURNS

著者:貸本マンガ史研究会
販売元:ポプラ社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この本の紹介については宮本大人さんが詳しく書かれていますので、トラックバックしておきます。あ、トラックバックだけではリンク先出ないんでしたっけ。こちらです。

http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20060318

少女まんがだと、主なところでわたなべまさこ、若木書房のひまわりブックとむれあきこ、高橋真琴、巴里夫、新城さちこと矢代まさこなどをちゃんとおさえています。まあ昔は貸本経験のない少女まんが家のほうが珍しいのですが(ところで前にあすなひろしの紹介の時に水野英子が「漫画少年」投稿出身で「少女クラブ」でデビューしたということをうっかり忘れていました)。あと貸本研究らしいアプローチは実物を見てのお楽しみ。
あと、ポプラ社って少女マンガの本やマンガの雑誌を出してませんでしたっけ?

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2006年3月 6日 (月)

あすなひろしの「嵐が丘」がオンデマンド出版で登場

ずいぶん間があいてしまいましたが、久々に伝説の作品を紹介できることになりました。

みなさんは、あすなひろしという漫画家をご存知でしょうか。1959年(昭和34年)というまだマーガレットやフレンドが創刊される前に月刊少女クラブ(講談社)と少女ブック(集英社)でほぼ同時デビューして(たぶん少女クラブのほうが先ということになっています)、貸本時代を経ずに雑誌でいきなりデビューしたと思われるマンガ家としてはまだきちんと調べがついていないものの最も早い作家ではないかと思われます(持ち込み?)。最初から少年マンガには目もくれず少女まんがを明確に志向していたことは確かで、水野英子のような壮大で華麗な作風はデビュー当時の貸本では望めなかったでしょう。

マーガレットを経てハイティーン向けの「女学生の友」(小学館)や「小説ジュニア」(集英社)などに流麗な絵柄で叙情的な作品を多数書き、70年代になると少年ジャンプに短編を描いたあと、少年チャンピオンが「ドカベン」、「ブラックジャック」、「がきデカ」をはじめとする強力なラインナップで少年マガジンの劇画時代以後に一時代を画した時期があるのですが、その中で「青い空が、白い雲をかけてった」という不定期シリーズ連載を載せて、当時の劇画のGペンで描いた荒々しい線とはまったく異質な、端麗な描線と誰も真似できないような緻密でグラデーションも自在なカケアミと、背景を時には緻密に描き時には大胆に省略するという独特の空間構成で、一部の少年読者に多大な衝撃を与えました。

そのときの私を含めた少年読者の多くは少女まんが家としても活躍し続けていたことを知らなくて、朝日ソノラマから出たコミックスで少女雑誌や青年誌にも描いていることを知った私は驚いたものです。

男性の少女まんが家としては第一人者であったちばてつやが70年代初めに少女マンガから離れると、男性作家の少女まんがからの撤退は決定的になって、やはり少女向け恐怖まんがの巨匠であった楳図かずおの傑作「洗礼」や、手塚治虫が久々に少女マンガを手がけた「虹のプレリュード」の連載を例外として、70年代の後半まで一流クラスで少女まんが家を続けていたのはあすなひろし以外に私の知る限りではほとんど見当たらず、70年代になってから少女向け作品を描いた吾妻ひでおとあだち充をこれに合わせて、高橋留美子の登場による一大転換期の先がけとして80年代以降の少年マンガに少女マンガのテイストを持ち込んだ3人を、私は「3あ」と名づけたいと思います。

そのあすなひろしが卓越した画力をもって少女マンガファンを魅了していたのは60年代末頃がピークで、「嵐が丘」はその中でも最も名高い作品のひとつとして伝説となっています。60年代のまんがは原稿が行方不明のものが多く、状態の良い掲載誌をお貸ししてくれた方のご好意により、ついに「嵐が丘」のオンデマンド出版が実現したのでした。

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2006年1月31日 (火)

世界最高のマンガとは?

ずっと更新サボっておりました。親元に帰省していてモバイルで書いています。
さて、日本のマンガのレベルは世界で最高なのでしょうか?
量で言えば世界で一番でしょうし、文学的な作品も数多くあります。
しかし、最近アメリカで発表された作品の中には日本のマンガではまず見られない手法で
20世紀の世界文学に伍するような大作が出ています。

Jimmy Corrigan: The Smartest Kid on Earth Book Jimmy Corrigan: The Smartest Kid on Earth

著者:Chris Ware
販売元:Schocken Books
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この作品は2000年に出版され、現在はペーパーバックも出ているようですが、ハードカバーの表紙から細かいコマで構成された絵で埋め尽くされています。いま手元にないですがかなり分厚い大長編で、1ページに占めるコマ数が尋常でないのですが日本のどんなマンガとも似ておらず、しかも長大なストーリーもの。現代マンガの頂点に位置する作品といって過言でないでしょう。
Amazonでも売っていますが、私はプレスポップ・ギャラリーから購入しました。
http://www.presspop.com/shop/comics01.html
現在は取り扱いしていないのかちょっとわかりませんでしたが、日本語版の翻訳も進められているとのこと。次の本で少し紹介されています。私は「本とコンピュータ」の海外マンガ特集で知って買ったので、バックナンバーが見られれば参考になるでしょう。

アメリカン・コミックス大全 Book アメリカン・コミックス大全

著者:小野 耕世
販売元:晶文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2005年12月 5日 (月)

おすすめのマンガ2:ちばてつや

コーラスの話をしたところでYOUNG YOU創刊前夜のことを書きたいのですが、今日は時間がないので、水木しげるさんに続いて巨匠の名作を紹介しましょう。

1・2・3と4・5・ロク (1) Book 1・2・3と4・5・ロク (1)

著者:ちば てつや
販売元:双葉社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

1・2・3と4・5・ロク (2) Book 1・2・3と4・5・ロク (2)

著者:ちば てつや
販売元:双葉社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ほんとうは少女まんが時代のちば作品を読むならこれを最初に読むのはあまりおすすめしませんが、ホーム社のちばてつや全集が品切れ状態でこれは最近文庫で特別に出たものです。講談社まんが賞を受賞しており過去に何度もいろいろな出版社から出ていたので、意外と少女まんがではこれだけ読んでいる人も多いのかもしれません。
この作品は講談社の少女フレンドの前身にあたる少女クラブに昭和37年から12月の休刊号まで掲載された作品で、ちばさんの少女まんが作品では異色作といってよいでしょう。

私は少女まんが中心に読んできたのですが、男ながらに少女まんがを読むというのは確かにある種の萌えの回路を介しているからではないかと思います。ところが、私にとってちばてつやの少女キャラクターは男性作家が描いてきた少女の中で現在もなお最高のランクに位置して、コミケにおけるロリコン美少女ブームから現在の萌えブームにいたるまで、ちばてつやを超える存在はいまだかつて一人も現れておりません。きっと幼少の頃女の子とばかり遊んでいたせいで、女の子の嫉妬心や派閥争いなどいやな面もなんとなく間近で見てきたので、一般的なオタクの萌えとは何か違うようにも思われます。

そこまで言い切ってしまうくせに、昨年少女クラブを国際子ども図書館でリボンの騎士以降から一気読みするまでにきちんと作品を読んでいたのは「ユキの太陽」一冊だけだったことに気づいて、自分でもそのいい加減さに驚いてしまいました。幼少の頃は「ハリスの旋風」や「みそっかす」がテレビアニメ化されていて、またシュリンクパックで中身が読めなくなる前の立ち読みし放題でちばさんの少女まんが作品も立ち読みくらいはしたものですが、それにしても内容を覚えているわけではありませんので、それにもかかわらず少女キャラクターのイメージがはっきり頭の中にできあがっているのは不思議なものです。
もっとも,ちばさんの描くヒロインは他の男性作家が描くのと同様にパターン化された特徴があるにはあります。私にとってその核心は何かと考えると、気高さ、ということになるでしょうか。この気高さにおいては宮崎駿ですら足元に及ばないと思いますが、それはなぜかといえばちばの少女キャラクターがその気高さを際立たせる隠し味として無邪気さ、天真爛漫さを付け足すことを忘れなかったことを指摘しておきたいと思います(宮崎駿以下の凡庸な男性作家はこれをかわいさと勇ましさにしてしまう)。これは大人の女性を描く際には支障となって現れる面がありましたが、高度成長期までの男にとっての女性像というのは割とそのような面があったような気がします。それを母性で補うことでやまとなでしこ的な女性像が成立していたかどうかは別として、ちばの少女キャラに弱点があるとすれば母性的な面を免れなかったことかもしれませんが、少年性に近いものすら抱え持っていたことから考えれば些細なものであるように思えます。

「1・2・3と4・5・ロク」を最初の少女まんがとしてあまり勧めたくないのは家族ものであるがためにヒロイン性が希薄であることが挙げられます。そして今の刺激的な漫画を読み慣れている読者にとっては退屈な作品とあっさり判断されてしまうかもしれないのも弱点です。

退屈、といいましたが、実は手塚番から石ノ森、水野英子を育てた少女クラブの名編集者として知られています丸山昭氏も、ちばてつやのまんがは手塚のようなコマ運びのスピーディさに欠け無駄なコマはこびが多いと実はあまり評価していなかったと本で読んで私はちょっと驚きました。わたしが10年近く前に読んだ「まんがのカンヅメ」をよく読んでみるとそのようなことが書かれていまして、この本は現在小学館文庫から「トキワ荘実録」と名前を変えて入手可能ですが、こちらのほうには上田トシコさんとちばさんがショート・エッセイを載せていて、お二人とも当時の丸山さんにはあまり評価されていなかったと書いてあったので、すでに少女クラブについてのレポートを書いたあとでこの本を読み損ねていたことに気づいてうろたえたことがありましたが、今回の少女クラブ最後の連載は、編集長に昇格した丸山さんがはじめてちばさんを担当した作品としても知られていて、意外にもそれまでのちば作品よりもずっと地味な作品になっています。しかも丸山さんが嫌ったというちばさんならではのコマ運びを実に頑固なまでに作劇上のポリシーとして貫いていて(むしろこの作品でこそそれが顕著では?私は他の作品を読んでもあまり気になりません)、あえて深読みすると後に少女フレンドで恐怖マンガを描く楳図かずおさんにも一脈通じる部分があるかもしれません。少女まんが独特といわれる心理描写の手法の歴史を考える上では見逃せないものです。

トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春 Book トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春

著者:丸山 昭
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これは私の憶測ですが、丸山さんは当時の少女まんがのメロドラマ的な面を嫌っていて、石森、水野とは資質の異なるちばの作風から、日常家庭ものを結論として導き出したのではないかと思うのですが、生活もの自体は当時のマンガの中では決してめずらしくなかったにもかかわらず、結果的にいえばやはりマンガ史に異彩を放つ名作になったと思われます。私見ですが、あすなひろしの少年向け作品およびあだち充の作品群の一つのルーツに位置づけられるとともに、あの「いなかっぺ大将」の作者川崎のぼるの名作「てんとう虫の歌」を産んだのは、やはりこの作品の残した功績だったのではないでしょうか。

Book てんとう虫の歌 (1)

著者:川崎 のぼる
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ところでちばてつやの本当のすごさはおそらく今回紹介しなかった作品にあるでしょう。それは「あしたのジョー」ではありません。いまだに「おれは鉄兵」の終盤の奇妙な展開は読んでいないものの、少女クラブ時代の「ママのバイオリン」と「ユカをよぶ海」を読んだとき、将来の作品を予告しているのに私はまったく驚いてしまったのでした。梶原一騎の伝説をあえてなかったことにしたときに、ちばてつやと川崎のぼるのこれまで語られずに来た巨匠としての姿が浮かび上がってくることでしょう。

おまけですが、この作品が発表された昭和37年の光文社「少年」の復刻版が限定発売されていました。

月刊漫画誌 「少年」 昭和37年 4月号 完全復刻BOX Book 月刊漫画誌 「少年」 昭和37年 4月号 完全復刻BOX

販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

少女クラブではあすなひろし、西谷祥子がデビューしました。石森章太郎は「江美子ストーリー」を描いていますが、実験性の強い伝説的な作品といっても未完の「三つの珠」などの才気に比べたら頭だけでこねくり回していて、ちば作品のもつ革新性は超えられなかったと私は判断しています。
石森章太郎の魅力はここでは少年の復刻版に載った「少年同盟」のほうに軍配が上がるでしょう。マンガにとって大きな転換期は、翌年の鉄腕アトムのアニメ化から、いよいよ未知の領域に向かうことになります。

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2005年12月 4日 (日)

リニューアルしたコーラスのコミックスリストを見て

今回は前回の続きにしますが、コーラスという雑誌には私はけっこう思い入れがありまして、かなり長くなりますが20年ほどさかのぼって別マからのつながりでちょっと書いてみたいと思います。

私のおぼろな記憶ですが80年代の中盤ころにマンガがつまらなくなったという声を耳にしていました。これからは同人誌シーンのほうが面白くなるだろうという意見が多くて、確かにコミケにはさべあのまさんや青木俊直さんなどがいて、早稲田漫も後にプロになるさそうあきらさんをはじめ、実験指向が強く出て面白いことになっていて、明大や東京女子大からも後にプロになる作家が描いていて勢いがありました。
私も当時読んでいた少年マンガや青年マンガに飽きてきたような気はしていたのですが、そのへんの記憶は曖昧で、たぶんLaLaが黄金時代からかげりが見えたのがマンガがつまらないという声のもとだったような気がします。とにかく少女まんがを読まずばマンガマニアにあらずというような頃が一時期あったのが、コミケットの隆盛とともに同人誌に関心がうつっていき、面白い少女まんががないかと聞くと川原泉とか誰に聞いてもだいたい白泉社系だったので、みんな読んでいるけど話題にはなりにくい集英社系を手始めに読むようになりました。普通の少女まんがはまだ敷居が高かったと感じていた頃です。
りぼんはとっつきやすかったのですが別マはかなり読みづらかった、というのはみんな絵が信じられないくらい下手だった印象が強かったのです。くらもちふさこさんの絵がもともと描線など個性的な面があったところに、多田かおるさんが登場して新しい絵柄が模索されるようになった面はあったのかなと思います。その中で読みやすかったのは藤村真理さんでしたが、首が太くて少年誌的なところがあってこれも変わっていました。
やがて紡木たくさんが登場しブームになって、これはやはり面白いんじゃないだろうかと思って別マを購読するようになり、バックナンバーを現代マンガ図書館まで見に行くようになります。
80年代の別マまんがスクールは新人の登竜門としてかなり多彩な才能を輩出する役割を果たしました。あくまで部外者の推測ですが、おそらく専属契約でコミックスを出してくれることが保証されていたのではないかと思います。
マンガスクールは1983年から86年にかけて、私の記憶違いでなければ別マ・デラマまんがスクールという名称になっていました。理由は不明ですが短編作家に力を入れようという感じがします。
紡木さんが活躍し始めた85年頃、私が面白いと思ったのはどちらかといえばデラックスマーガレットのほうで、とりわけあきの香奈さんが異彩を放っていたのでした。また週マと別マの共同編集でザ・マーガレットが創刊されていました。新人はザ・マーガレットからはじめて人気が出ると別マ、デラマ、週マに振り分けられるような感じです。読み切り重視でデラマへのウェイトが上がっていたのではないかと思われます。

さて、別マ・デラマまんがスクールがはじまった83年にデビューした作家で私が記憶している限りでは、とりうみ詳子、矢野りん子、山田朝子、佐野未央子、芳成かなこ、高橋りえ子、五彩きょうこといった顔ぶれですが、これは私には正直言って驚きでした。作風が個性的な人が多い上に見事にばらけています。とりうみ詳子はモーニングを経て後にヴァルハラという代表作をA-haという雑誌に描き、山田朝子はやまだないとに名前を変えてヤングマガジンから再デビューします。デビューしてともに3年くらいでおそらく選別があり少女まんがから離れてしまいます。五彩きょうこさんの初期作品はギャグでないのに主役の女の子が鼻を垂らしていたり意図的に不細工に描かれながらシリアスな展開を目指していました。
ところでこのまんがスクールより前に、別マ・デラマ新人まんが賞が設立されており、あきの香奈、紡木たくを輩出していました。多田かおるさんの活躍にはじまる80年代の別マの新しい波がこのへんで確立し、長く活躍している斉藤倫さん、藤村真理さんなどもデビューしていました。

今年で創刊11年目となるらしいコーラスで佐野未央子さんと芳成香名子さん(かなこより改名)が現在も描いていますが、創刊当初はNew別マまんがスクールでデビューして後に一躍有名になる冬野さほさんが読者ページのカットを描いていました。今では愛犬系エッセイマンガ家として知られる芳成さんを私自身はあきの-冬野の流れに位置づけていたのですが話すと長くなるので(大まかにいうと絵本系と児童文芸路線ですがそう言ってしまうとあまり説明になっていない)ここでは記しません。83年デビュー組が二人描いているところが私にとってコーラスらしいところでしょうか。

君のいない楽園 8 (8) Book 君のいない楽園 8 (8)

著者:佐野 未央子
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


こむぎ日和 お散歩できないダメダメ編 Book こむぎ日和 お散歩できないダメダメ編

著者:芳成 香名子
販売元:集英社
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そのように私の読者歴の中で興味深い別マ・デラマまんがスクールでしたが、ザ・マーガレット誌上でオールマーガレット新人まんが大賞が新たに設立されるとともに 1986年の1月をもって終了し、New別マまんがスクールになります。その最後にデビューしたのが名取ちずるさんで、惜しくも昨年亡くなられたのですが、名取さんも一時コーラスに進出していたのでした。
そこでタイトルにつながるのですが、最新号のコーラスのコミックスリストに名取さんの遺作になったコミックスも載っておりました。ちづると誤植されていましたけど、それを見てどちらかといえば地味な作風の多いコーラスの歴史を感じさせるものでありました。

ぐるぐる迷路23 マーガレットコミックス Book ぐるぐる迷路23 マーガレットコミックス

著者:名取 ちずる
販売元:集英社
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2005年11月30日 (水)

コーラスがリニューアル

YOUNG YOUが休刊したことによって一部の連載を引き受けるかたちでコーラスがちょっとリニューアルしました。ハチクロの携帯クリーナーが付録について特別定価450円です。初期のコーラスは吉田まゆみさんなどを迎えてなかなか華やかでしたが、少女まんが、女性向きマンガがなかなか売れなくなってきて、ここ最近は作家数を絞って300円が定価でした。

天然コケッコー (1) Book 天然コケッコー (1)

著者:くらもち ふさこ
販売元:集英社
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この発行年が1995年ということで、最終巻が出たのが2001年。

天然コケッコー (14) Book 天然コケッコー (14)

著者:くらもち ふさこ
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ちなみに今は文庫版が出ていますが、もう十年前なんですね。萩尾望都さんの長期連載もあって、少女まんがの世代代わりに向けてのの模索が続いていましたといえましょうか。過去のリニューアルの際は一条ゆかり先生がりぼんから完全に移籍されて看板を支えてきましたが、来月号からはハチクロの連載再開と言うことで、どんな感じになるでしょう。わたしはYOUNG YOUと両方読んできたので今回はそんなに変わった感じはしませんでした。集英社カラーがあるからなんでしょうか。
その一方でりぼんオリジナルも表紙をリニューアルして、りぼんのお姉さん雑誌の雰囲気になってきました。
個人的な欲を言えば、ふだんあまり描く機会がない作家の中編読み切りの力作が読めるようになるといいなあと思っております。

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2005年11月24日 (木)

おすすめのマンガ

尊敬する漫画家なのに実際はきちんと読んでいない作家ってけっこういるものです。
まずは水木しげるさん。妖怪ものの第一人者ですが、戦記ものも有名。でも全体像が意外と見えてないのではないでしょうか。

のんのんばあとオレ Book のんのんばあとオレ

著者:水木 しげる
販売元:コミックス
Amazon.co.jpで詳細を確認する

これは水木先生の少年時代を自伝的に描いたもので有名ですが、私はコミックスがあることを知りませんでした。いわゆる青春ものの傑作として水木作品に興味がない人も含めたすべてのマンガファンにおすすめします。

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